| 2025年12月17日(水)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン10 H-7) |
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2025年12月5日(金)公開[PG12] / 上映時間:106分 / 製作:2025年(日本)
/ 配給:東映
【監督】 久慈悟郎
【キャスト】
田丸均:板垣李光人 / 吉敷佳助:中村倫也 / 島田洋平:天野宏郷
小杉三郎:藤井雄太 / 片倉憲伸:茂木たかまさ / 泉康市:三上瑛士
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【あらすじ】
太平洋戦争末期の昭和19年、21歳の日本兵・田丸均(板垣李光人)は、南国の美しい島・ペリリュー島にいた。漫画家志望の田丸はその才を買われ、亡くなった仲間の最期の雄姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という任務に就いていた。やがて米軍の猛攻が始まり、日本軍は追い詰められていく。いつ死ぬかわからない恐怖、飢えや渇き、伝染病にも襲われ、極限状態に追い込まれていく中で、田丸は正しいことが何なのかも分からないまま、仲間の死を時に嘘を交えて美談に仕立て上げていく。そんな田丸の支えとなったのは、同期でありながら頼れる上等兵・吉敷佳助(中村倫也)の存在だった。2人は互いに励まし合い、苦悩を分かち合いながら絆を深めていくが・・・ |
【感想】
この映画は観ておかないといけないという思いがあって観てきました。原作は武田一義による漫画で、2016年から2021年まで連載された長編ものです。実際の史実を参考に書かれたフィクションです。
三頭身の可愛いキャラクターなので、戦争ものであっても過激さは無い穏やかな雰囲気なのかなと思いきや、凄惨な場面もしっかりと描かれてかなりきつい内容となっていました。このキャラクターデザインだからなんとか観ることができますが、これがリアルに描かれていたら絶対に目を背けるだろうなと思うシーンがたくさんありました。
戦後10年ほどで生まれた私の年代では、戦争は一生の内には起きうるかもしれないという身近なところにありました。私は体力も根気も無い若者だったので、肉体的・精神的に追い詰められる環境には拒否反応があって、その最たるものが日本の軍隊だと感じていました。なので、絶対に戦争には行きたくないという思いが強くて、戦争を起こすなと強く願っていました。それでも、戦記漫画(ゼロ戦はやと、紫電改のタカのような作品)には夢中になり美化された戦争にカッコ良さも感じていたので、矛盾も抱えていた時代でした。
この作品は、戦争で戦う兵士のカッコ良さなどまったくありません。自分と等身大の若者が戦地に送られ、正確な情報も与えられず、ただ上官の命令に従うだけの兵士が主人公です。戦記物にたまに登場する、命第一ということに理解のある上官もいません。投降は悪であり玉砕こそがお国のためという考え方の中で、田丸と吉敷のふたりは「生きて日本に帰る」ということで支え合って長い持久戦を耐えていきます。お互いを守るために敵兵を殺すということも躊躇わなくなっていきます。
ペリリュ―島だけでなくいろんな戦地で、日本兵はこういう激烈な環境の中で死ぬことが美という考えの洗脳で、戦時中も戦争が終わった後でもそれを知らずに死んでいった人が多かったのだと思います。そしてその死を過大に英雄化して遺族に報告していたというのも、本人や家族のためではなく、国が一番という日本の御都合主義と国のために命を投げ出せという個人の命を軽んじる歪んだ意識があったからだと思います。
この作品に出てくる人物はそういう戦時中の考え方に洗脳された人々なので、誰が正しいとか誰が間違っていたとか言うことはできません。吉敷を撃った上官・島田(天野宏郷)を田丸は責めることをせずに、島田がいたからこれだけの人数が生き延びることができたと言ったというのも切ないところでした。だからこそ、戦争をしたとしても家族や将来の国のためにも命だけは大切にしろという考え方があれば・・・と見ていて思ってしまいます。
吉敷の遺体を背負って田丸が米軍に投降するあたりから、じわじわと目頭が熱くなってきて、上白石萌音の「奇跡のようなこと」が流れてくるあたりでは、涙が自然に流れてきました。その歌の「明日が当たり前に来ることが奇跡」、「命の正しい使い方を教えてください」という歌詞が心にとても沁みてきました。また泉(三上瑛士)が口紅を塗るシーンや島田への感情を漏らすシーンでは、体が男だということだけで戦場に送られてきた切なさも感じてしまいました。
思った通り、「戦争」や「命」に対する考え方が心に突き刺さってきて「戦争は絶対にしたくない」とあらためて思わせてくれる素敵な映画でした。原作に比べて当然カットされている出来事(とくに凄惨な場面がもっと描かれているらしい)がかなりあるので、機会があれば原作も読みたいと思いました。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |
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