2026年1月14日(水)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン7 G-9)
2026年1月9日(金)公開 / 上映時間:109分 / 製作:2025年(日本) / 配給:NAKACHIKA PICTURES
【監督】 中村雅俊
【キャスト】
 カースケ(津村浩介):中村雅俊 /
 グズ六(熊沢伸六):秋野太作 /
 オメダ(神崎隆夫):田中健 /
 中谷真弓:岡田奈々 / 神崎真理:前田亜希 / 会田紗矢:水谷果穂 /
 神崎小枝子:左時枝 / 佐伯克史:福士誠治
【あらすじ】
カースケこと津村浩介(中村雅俊)と、大学時代の同級生のオメダこと神崎隆夫(田中健)、カースケの小学校の先輩であるグズ六こと熊沢伸六(秋野太作)の3人は70代を迎え、すでに50年以上の付きあいとなった。カースケは小さな町工場を経営し、オメダは鳥取県の米子市長、グズ六は介護施設の理事長として、それぞれ平穏な日々を過ごしている。そんなある日、カースケの工場にオメダが訪ねてくるが、オメダは思いつめた様子ですぐに帰ってしまう。また別の日、カースケの工場で製作中のポットが大量に割られる事件が起きる。その中に懐かしい砂時計を見つけたカースケは、20年前に病死した元恋人・洋子との思い出を懐かしむが、グズ六から彼女が生きているという驚きの情報を聞かされる・・・
【感想】
二十年目、三十年目のスペシャルドラマ「俺たちの旅」は、あまりにも男たちが自分勝手で、女性たちがそれに振り回されて憐れすぎるという内容についていけなくなっていきました。この映画もその延長なのだろうなという思いはあったのですが、「俺たちの旅」はリアルタイムでは心に残るドラマであり、当時は夢中になって観ていたドラマなので、観る側も50年の区切りをつけるべきかもという思いで観てきました。

平日の夕方の上映、観客は10名ほど。すべて私と同じような年代の人たち。男性が多い中、夫婦らしき人たちもいらっしゃいました。やはりこの映画は私の年代の人にとっては若き頃の象徴的なドラマだったのだと思います。

まず最初に驚いたのは、画面のサイズが4:3。両側はかなりのスペースが黒くなっています。これは、過去のシーンを多用するためにその部分と違和感が出ないように合わせたようですが、せっかくのスクリーンなのにこじんまりとした映像になってしまってもったいないと思ってしまいました。

最初、拳銃が出てきたり、真弓に洋子が乗り移ったようなシーンがあったりと、ちょっと現実味の無い形から始まったのでこのあと大丈夫なのかと危惧しましたが、オメダが昔住んでいた家を買い取ってそこに住みたいとカースケに相談するあたりから、「俺たちの旅」らしくなってきて、残りの人生をどう生きるべきかという”旅”らしいストーリーになってきました。カースケとグズ六がオメダの気持ちを理解して味方するところはちょっと感動的ではありましたが、だからといってカースケたちの考え方に同調はできませんでした。それは、たぶん彼らは若い頃と変わっていなくて、観る側のこちらが年を経て変化しているからなのでしょう。カースケは奥さんと息子はどうしたのか、オメダは家族との生活や受け継いだ地盤をなぜ放り出せるのか、グズ六は立派な紀子さんがいる立場なのに他の女性にフラフラできるのか、そんな疑問が浮かんでしまうような現実味の無い無責任とも思える人たちに共感できると思っているのでしょうか。若い頃は無茶していた若者たちだからこそ、普通の大人とは違う大きな人間になってくれていたほうが、観ている側としては感動的で嬉しい感じがするのですけどね。

50年も経って、相変わらず子供のような彼らを見せてくれる方が良いのか、年相応以上のものの考え方のできる大人に成長した姿を見せてくれるほうが良いのか、そこは難しいところなのかもしれません。前者は共感できないけど理想なのかもしれないし、後者は共感できるけれども寂しさを感じるのかもしれません。そもそも、長い年月を経たドラマを作ること自体に無理があるのかもしれません。演じる俳優さんの老いも感じますしね。

救いだったのは、一番悲しくて切ない思いだった洋子に対してスポットを当ててくれたこと。カースケは50年も経ってやっと洋子の気持ちがわかったのかとイラつきもしましたが、今回の映画で洋子の思いを掬い取ってくれたのは区切りの映画としては良かったと思いました。洋子は1度離婚しその後に優しい男性(森本レオ)と巡り合うも早くに命を落とし、真弓は2度離婚して子供から引き離されるし、「俺たちの旅」は本当に女性を不幸にしか描かないようです。

昔のシーンが何度も流れましたが、最後のクレジットにはその人たちの名前は流れませんでした。この映画が「俺たちの旅」の集大成であり最後の作品ならば、敬意を表してみんな(少なくとも昔のシーンで出た俳優さん)の名前を載せてほしかったと思いました。

懐かしく観ることはできましたが、カースケ、オメダ、グズ六に共感して憧れて観ていた若い頃の自分はもういないんだなとあらためて感じた作品でした。あと余談ですが、この映画のパンフレットの価格にはびっくりしました。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。