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身内に不幸がありまして |
丹山吹子は「バベルの会」のメンバー。蓼沼でおこなわれる夏の読書会合宿の二日前、丹山家で吹子の兄が使用人を襲うという惨劇が起きた。宗太は当主の逆鱗に触れ勘当されるが、翌年には吹子の伯母・満美子が、翌々年は大叔母・神代が同じ日に殺害されるという事件が起きる。そして四年目には使用人・村里夕日が殺害される。物語は、村里夕日と丹山吹子のそれぞれの手記によって綴られ、驚きの真実と動機が明かされる・・・ |
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北の館の罪人 |
六綱家当主の妾の娘・内名あまりは、母の死を機会に六綱家に引き取られ、六綱家の別館でそこの住民の世話を言いつかる。住民は若い頃に家を出て事故に遭い死んだとされている当主の長男・早太郎だった。そのため、家は次男の光次が継いでいた。早太郎と光次には詠子という妹があり、詠子は「バベルの会」のメンバーだった。早太郎に気に入られたあまりは、早太郎から風変わりな買い物を頼まれていた。しかし、早太郎はあるものを残して若くして亡くなった。そして残されたものに隠された秘密を詠子は読書会での経験から解き明かす・・・ |
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山荘秘聞 |
山の奥にある辰野家の別荘・飛鶏館の管理人となった屋島守子。そこを気に入った守子は、いつ誰の訪問があっても良いように別荘の管理を完璧にしていたが、1年が経っても誰も訪れることはなかった。守子はかつて働いていた前降家のお嬢様と「バベルの会」の手伝いで蓼沼の読書会に参加したことがあった。その時のように、飛鶏館で「バベルの会」のメンバーの世話ができればいう夢を持っていた。そんなある日、守子は遭難した男を助けて館で療養させる。翌日、飛鶏館に救助隊が訪れる。守子はその機会を逃さず、自分の思いを実現していく・・・ |
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玉野五十鈴の誉れ |
小栗家の一人娘・小栗純香は、祖母に小栗の家を守り再興することを強いていた。祖母の娘である母も純香も祖母の言葉は絶対で従わざるを得なかった。入り婿である父は祖母の眼中になかった。純香の15歳の誕生日に、玉野五十鈴という使用人を与えられた。純香と五十鈴は祖母の厳しい目を逃れて、友人のような関係を築いていった。大学に進んだ純香は「バベルの会」のメンバーとなり、五十鈴も手伝いで参加するようになり、蓼沼での夏の読書会を楽しみにしていた。しかしその前に、純香の父の弟が殺人事件を起こした。純香はそのことで跡取りの座も五十鈴という存在も奪われることになった。その結末は・・・ |
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儚い羊たちの晩餐 |
かつて「バベルの会」の会合がおこなわれていて今は荒れ果てたサンルームに、メンバーであった大寺鞠絵の書いた「バベルの会はこうして消滅した」という物語が置かれていた。大寺家の主人である鞠絵の父は、成金趣味の出来の良くない跡取りだった。ある日、父は宴の料理専門の料理人(厨娘)・夏を雇った。夏の作る料理は素晴らしいものであったが、食材を目的のところしか使わないという贅沢なものであった。鞠絵は、誰にも作ったことが無い料理を求めた父に代わり、夏に「アミルスタン羊」の料理をリクエストする。夏はその料理の食材を手に入れるために鞠絵に紹介された夏の蓼沼に向かう・・・ |