| 2026年5月15日(金)鑑賞 伏見ミリオン座(劇場2F@ G-9) |
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2026年5月1日(金)公開 / 上映時間:106分 / 製作:2026年(日本) / 配給:ビターズ・エンド
【監督】 利重剛
【キャスト】
夏野幹夫:高橋一生 / 夏野繁子:呉城久美 / 大介叔父さん:利重剛 / ゲイチ:芹澤興人
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繁子の祖母:大方斐紗子 / 古着屋店長:関口和之 / 毒島りずむ:池脇千鶴 |
【あらすじ】
少し天然で絶対に怒らない男・夏野幹夫(高橋一生)。ある日、パスポート更新のため戸籍謄本を取得するが、そこには全く身に覚えのない「続柄:妻」を見て驚く。どうやら、1年も前に「繁子」という名の女性が自分と勝手に籍を入れていたらしい。このことを知った幹夫は、正体不明の彼女を探しはじめる。諦めかけていたその時、偶然前を通りかかった花屋から「夏野さーん」と呼ぶ声が。繁子(呉城久美)との緊張の初対面かと思いきや、繁子は幹夫を見るなり猛ダッシュで逃走。「話をさせてください!」という幹夫の声も届かず、街中を走り回り追いかけっこする二人だったが、幹夫はタイミング悪くトラックと衝突してしまう。予想外の出会いから始まった二人の関係だったが、奇妙な出会いはいつしかふたりの人生に思いがけない変化をもたらしていく・・・ |
【感想】
この映画は、インターネットで予告を観て、知らない間に戸籍に妻がいたという、ミステリー的、コメディ的な内容に興味を持ちました。観てみたいと思って上映館を調べたら、愛知県では名古屋伏見の「伏見ミリオン座」でしか上映されていないことがわかり、初めて「伏見ミリオン座」に行ってきました。「伏見ミリオン座」は、トイレや壁一面に数多くの俳優の写真が切り抜かれて貼られていたりして、映画通の映画館という雰囲気のする居心地の良い映画館でした。
ミステリーチックなコメディと思っていた「ラプソディ・ラプソディ」ですが、そんな単純なだけの映画ではありませんでした。絶対に怒らない男・幹夫も、触れるもの全て壊してしまう女・繁子も、幼い頃の出来事によって人とのかかわり方に不器用になってしまったという、心の問題や家族の愛情の問題を考えさせてくれる内容でもありました。しかし、かといって重くしんみりとした雰囲気では無く(繁子が幹夫を怒らせようとするシーンを除き)、幹夫と繁子とその周辺の登場人物が個性的で魅力的で、軽いタッチで面白おかしく描かれていくので、ほっこりしながら楽しむことができます。
幹夫は、以前は短気だったけれども、自分の言動が母の自殺を招いたと思い込んでしまい、それからはけっして怒りを外に出そうとしません。最初は、天然の穏やかな性格で頼りない人物だと思っていた幹夫が、実はそういうことが原因によって怒らないようにしているとわかると、幹夫に対する見方が変ります。そんな幹夫は高橋一生そのものだと思わせてくれるほどぴったりでした。
繁子も、親が自分から離れて行ったことから、自分の好きな人に触れると自分から離れていって壊れてしまうと思い込んで、うまく人と接することができなくなって暴走気味になっています。幹夫のように感情を抑えることはしないけれど、相手の気持ちには敏感で気を使いすぎるところがあります。最初は、勝手に婚姻届を出すような非常識な女という見方しかできませんでしたが、だんだんと繁子の弱さが見えてくると次第に理解できて寄り添える感じになっていきます。繁子を演じる呉城久美という俳優さんは知りませんでしたが、この俳優さんも繁子と重なり繁子そのものに感じました。
そんな二人がぶつかり合うシーンは、一番の見どころでした。繁子が幹夫を怒らせようとあえて酷い態度をとるシーンですが、幹夫が、怒ることを抑え込んでいた心情を吐露しながらだんだんと壊れてしまう様は見事でした。幹夫を怒らせる行動は最初は酷いと思いましたが、幹夫が感情を抑え込んでいることを心配しての行動だと大介叔父さん(利重剛)に伝えるところはジーンと来ました。繁子は、暴走気味の行動の裏には優しさや思いやりがあるのだと気づかせてくれます。
こういう内容は、すぐに自分や家族に置き換えて考えてしまいます。私自身は短気で怒りやすい人間で、その感情を抑えることは苦手です。幹夫や繁子のように、周りの人間を傷つけたり不幸にするくらいならば自分を抑えたり姿を消せばよいと考えることはできません。そういう意味では幹夫も繁子も、強くて優しい人間なのだと思います。私も怒りを感じた時は、幹夫のように鼻をこすって怒りを抑えないといけませんね。
人生は人と絡むことによって、いろんな出来事に遭遇します。その出来事によって不幸に感じたり、人生に公開や絶望を抱いたりします。幹夫の祖母は、周りの人からそういう話を聞いた時には、「人生は、良いことも悪いことも含めて、感じた分だけ幸せ」と伝えていたと幹夫は言います。その話も心に残りました。マイナスなこともプラスに転じる言葉として、心の救いの一助になるような言葉でした。
幹夫と繁子も魅力的でしたが、周辺の人物たちも魅力的でした。監督でもある利重剛の演じる幹夫の大介叔父さん(幹夫の母の弟)。最初は面白い変なおじさんでしたが、幹夫のことを心配しながら優しく見守っていることがわかると、一気に魅力的で優しい人物に変貌します。幹夫の同僚のりずむさんも素敵でした。幹夫に思いを寄せている女性ですが、その思いの伝え方が不器用ながらも大胆でちょっと変わった女性です。幹夫が結婚していることを知ってガッカリするところは笑えてしまいましたが、失望したにもかかわらず、家を出た繁子を迎えに行くようにアドバイスするあたりはしっかりとしたところも感じます。繁子の花屋での同僚のゲイチさんも輝いていました。「国宝」で付き人役を好演された芹澤興人さんですが、私は「きさらぎ駅」での不気味なおじさんの印象が強い俳優さんです。この映画では、一番明るく前向きでハイテンションのとてもいい人でした。地味な役どころですが、頑なに人を信用しない繁子の祖母も存在感を感じました。この人も鎧を着て生きてきたからこその不器用さを感じて親近感を抱きました。
結末では、幹夫と繁子は一緒に花屋を営むことを目指すというとてもハッピーな終わり方でした。結婚しているのに、あらためて幹夫が繁子に「結婚しようか」と言うのはキュンときました。観終わると、優しく穏やかにすることが実は人間として強いことなんだと思えるようになりました。この映画は、他の映画館でも上映されて、もっとたくさんの人に見てもらいたいと思える映画でした。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |
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