2026年4月21日(火)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン1 E-9)
2026年4月17日(金)公開 / 上映時間:122分 / 製作:2026年(日本) / 配給:東宝
【監督】 石井裕也
【キャスト】
 寺田ナズナ:綾瀬はるか / 小野ナズナ:當真あみ / 富久信介:細田佳央太 /
 寺田良一:妻夫木聡 / 大橋秀行:音尾琢真 / 木崎加世:富田望生 / 寺田舞:西川愛莉 /
 川嶋勝重:菅田将暉 / 営団地下鉄の部長:津田寛治 / 大学病院の医師:笠原秀幸 /
 富久晴子:原日出子 / 富久隆治:佐藤浩市
【あらすじ】
2024年、定食屋を営む寺田ナズナ(綾瀬はるか)は、ある青年に宛てて手紙を書く。24年前、17歳の小野ナズナ(當真あみ)は、いつも同じ電車で見かける高校生・富久信介(細田佳央太)にひそかな恋心を抱いていた。一方、信介は進学校に通いながらプロボクサーを目指し、学校帰りにボクシングの練習に打ち込む日々を送っていた。そんな彼らに、運命の日である2000年3月8日が訪れる。そして2024年、信介の家族の元にナズナからの手紙が届く。父・隆治(佐藤浩市)は手紙の中に亡き息子の生きた証を確かに感じ、息子の知られざる青春の断片と成長を知る。やがて隆治は、ナズナに宛てて手紙をつづりはじめる・・・
【感想】
2000年3月8日に発生した営団日比谷線中目黒駅構内列車脱線衝突事故で犠牲になった高校生の家族のもとに20年を経てラブレターが届いたという実話を基に制作された映画です。鉄道事故が絡んでいるということと、20年以上の時を経てラブレターが届くという話に興味を持っていたので、ひとりで観てきました。

実話は、日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース」で再現ドラマとして放送されたそうですが、映画は、富久信介の境遇は実話に近いようですが、ラブレターを書いたナズナの話は実話なのかフィクションなのかわかりません。映画では自分の病気がきっかけで手紙を書き、それをきっかけに自分の病気のことを娘にしっかりと話そうという流れになっていますが、実話で手紙を書いた女性のことはあまり語られていません。

高校生のナズナと信介が言葉は交わさずもいつも電車で顔を合わすことで恋心を震わせていたところは、胸がキュンとして純粋さがとても良かったし、信介が事故に遭遇して亡くなったあとに、川嶋(菅田将暉)が悲しみを大橋会長(音尾琢真)にぶつけるところは、事実を認めたくないやるせなさを共有して胸が痛くなりましたし、ナズナからの手紙を信介の両親が読むところや、その返信をナズナが読むところは、切なくて泣いてしまいました。まわりに他の観客がいなかったので、ハンカチを出して涙を拭いながら観ていました。人間はいつ何があるかわからないので、自分の気持ちや相手に伝えるべきものはしっかりと伝えておくことや、たまらなく悲しい出来事があったとしても、それを乗り越えて笑って前向きに生きることの大切さがしっかりと伝わってきました。

そこまでは、観に来た甲斐があった、家族も誘えばよかったと思いながら観ていたのですが、そこからは、そんな感情が萎んでいく感じでした。確かに手紙のやり取りによって、自分の病気のことを娘の舞(西川愛莉)に話す気持ちになったという展開なのですが、すでに、舞は母親の病気のことは感づいていた感じだったし、医者になるという夢も持っていたわけで、ナズナが病気のことを伝えた意味が薄く感じてしまいました。

そして、ナズナが亡くなるシーンも、時間が飛んでナズナは遺影の中にという展開なので、ナズナがそれ以降どう前向きに生きたのかとか、ナズナの家族を残していく切ない思いや、信介に書いた手紙の意味とか、そういうところが伝わってきませんでした。そしてラストは舞の精神的な成長に涙する良一(妻夫木聡)というところで終わるので、話がとっちらかった感じを受けてしまいました。感動的な手紙のやり取りの結果によって、話をもう少し広げてくれたり(例えばナズナと信介の両親が会うとか)、それによって人はどう変わって前向きに生きたのかを描いてほしかったと思います。「人はなぜラブレターを書くのか」というタイトルの答えも、ぼんやりしたままでした。それと、いくらなんでも、母の手紙を勝手に読むのはいただけません。

個人的には後半は物足りなさを感じましたが、それまではとても良い話でしっかりと泣ける内容だと思いますし、大物・有名俳優陣も静かないい演技をしていましたし、しっかりと印象に残る映画でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。