| 2025年9月30日(火)鑑賞 U-NEXT |
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2023年7月28日(金)公開 / 上映時間:113分 / 製作:2022年(日本) / 配給:カルチュア・パブリッシャーズ
【監督】 吉野耕平
【キャスト】
陽子:菊地凛子 / 工藤茂:竹原ピストル / 立花久美子:黒沢あすか / 小野田リサ:見上愛
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若宮修:浜野謙太 / 水野隆太:篠原篤 / 八尾麻衣子:仁村紗和 / 木下登:吉澤健
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木下静江:風吹ジュン / 工藤昭政:オダギリジョー |
【あらすじ】
青森県弘前市出身、42歳の在宅フリーター、陽子(菊地凛子)は20年以上連絡を絶っていた父(オダギリジョー)の訃報を受ける。従兄の茂(竹原ピストル)の家族と車で向かうことにしたが、途中のサービスエリアで置き去りにされてしまう。出棺を明日に控え所持金のない陽子は故郷までヒッチハイクを試みる・・・ |
【感想】
菊地凛子という俳優は好きではなかったのですが、好きな俳優の染谷将太の妻であると知って、その機会に本人へのインタビュー記事などを読んでみたら、外観の印象とは異なり共感する部分も多くて興味を持ってしまいました。なので、代表作の中から比較的新しいこの映画をU-NEXTで観てみました。
サービスエリアに取り残された陽子が、人とうまくしゃべることができなくて足掻きながら苦手なヒッチハイクをして故郷へたどり着く心理状態の乱れや変化していく様子が、少ない台詞の中でとてもよく伝わってくる映画でした。人の来ないパーキングエリアとか、実家までかなり歩く必要がある場所など、なぜこんな場所で降ろすのかということはひっかかりますが、そんなことよりも、陽子の表情や行動に興味や関心が強く引かれていく映画でした。
最初は、あっさりとクルマに乗せてくれた女性・立花(黒沢あすか)との会話にならない会話、そして誰もいない寂しいパーキングエリアで出会ったヒッチハイクの若い女性・リサ(見上愛)とのかかわり、その後に乗せてもらった男・若宮(浜野謙太)との屈辱的な体験、そして自分の身を心から気遣ってくれる老夫婦・木下夫妻(風吹ジュン、吉澤健)との感謝のふれあい、そして、意図的ではないにしろサービスエリアに陽子を置き去りにしてしまった従兄・茂の陽子に対する気長で穏やかで優しい対応、そんなふれあいが、ヒッチハイクを人生に重ねて、生きていく上での大切なことであるであるのだと感じさせてくれました。自分自身のことに置きかえて考えることもありました。また、自分の思い通りの言葉が返ってこない人に対する態度や、その人のことを思う言葉の優しさの形というものも考えさせられました。
658kmの陽子の旅は、父の死をきっかけにヒッチハイクをする状況になってしまったことで、意識の中で過去の父親に縛られていたことから解放されて、あらたな人生の始まりとなる旅だったわけですが、誰にもそういうきっかけは自分の行動次第で身の回りにあるのかもしれないと思わせてくれる映画でした。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |
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