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プロローグ 島田潔からの手紙 |
1987年6月30日に書かれた飛龍想一宛ての島田潔の手紙の文面・・・ |
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第1章 |
七月 |
画家の飛龍想一は育ての母・沙和子とともに静岡から京都にある父の屋敷に引っ越してきた。父は、妻であり想一の実の母・実和子が28年前に死んだあと、ひとりでその屋敷で暮らしていた。屋敷の一部は緑影荘というアパートに改築され、アパートには3人の住民と管理人夫妻が暮らしていた。その屋敷には父が作った不完全なマネキン人形が屋敷各所に6体置かれていた・・・ |
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第2章 |
八月 |
アパートの住民は、管理人・水尻夫妻、小説家・辻井雪人、大学生・倉谷誠、盲目のマッサージ師・木津川伸造の5人。その屋敷で暮らし始めた想一は、近くの喫茶店「来夢」に足を運ぶ以外は、たいがい屋敷で過ごしていた。8月16日送り火の日、北白川疎水で5歳の男の子の他殺死体が見つかる・・・ |
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第3章 |
九月 |
9月20日、「来夢」で想一は静岡での幼馴染・架場久茂と出会う。架場は京都の大学で助手をしていた。その4日後の朝刊に、銀閣寺近くの法然院で6歳の女の子の他殺死体が見つかったという記事を目にする。その頃、想一も何かの気配を感じるようになってきており、そんな時に想一がアトリエとして使っていた密室の土蔵で、赤い絵の具が塗られたマネキンを見つける・・・ |
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第4章 |
十月 |
10月に入ると、想一は心の中に、ある情景が断片的に現れるようになっていた。想一は、密室のアトリエで起きた事件から、戸締りや施錠に神経を使うようになっていた。そんな時、想一は郵便受けに入っていたガラス片で怪我をしたり、自転車のブレーキが壊されて転倒してしまうという目に遭う。そんな状況を想一は架馬にすべて話し、自分が狙われているらしいと話す・・・ |
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第5章 |
十一月 |
想一は密室状態だった土蔵でなぜあんなことが起きたのか考え続けていたが、そんな時に差出人不明の手紙が想一に届く。それは「思い出せ。お前の罪を・・・近いうちに楽にしてやる」という殺人予告状めいた内容だった。11月11日、相談するために架場の研究室を訪れた想一は、そこで道沢希早子という大学生と出会う。3人で会話するうちに、想一の心の中の情景が明確になっていく。それは列車の転覆事故の情景だった。そして、11月16日の午前3時半頃、沙和子の寝ている座敷から火の手があがった・・・ |
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第6章 |
十二月 |
火事によって沙和子は死んだ。想一は放火を疑うが、施錠を念入りにしていたために犯人へたどり着けなかった。また「母親の死も、お前のせいだ・・・充分苦しむがいい」という手紙が想一のもとに届いた。12月13日、焼けてしまった実家の門柱の袂で、島田潔からの手紙を見つける。静岡から転送されてきたものが野ざらしになっていたらしい。その日の夕方、「来夢」で偶然会った希早子との会話の中で、吉田山の林の中で小学校2年生の男の子の絞殺死体が見つかったことを知る。帰宅後、あらためて島田の手紙を読んだ想一は12月14日、島田に連絡を取る意思を固めたが島田は不在だった。12月20日、自分の作品を見せる約束をした想一は希早子をアトリエに迎える・・・ |
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第7章 |
一月(1) |
想一は希早子に惹かれるようになっていた。そのために、どうなってもいいと思っていた脅迫者に対する感情は恐れの感情に変ってきていた。1月6日、島田からの電話を受けた想一は、すべてを話して島田の考えやアドバイスを得ようとした。その会話の中でマネキンの向きに意味があるのではということに気づき、翌日、全マネキンの視線の先に、埋められた完全な形のマネキンを見つけた。それはまさしく想一の実母・美和子を再現したものだった。電話をかけてきた島田に、想一は母への思い、母を死なせてしまった事故について吐露する。その夜、辻井雪人は神社の境内で男の子を殺したところを誰かに見られる。一週間後、島田から、想一のいたずらによって転覆した列車の被害者の苗字が、アパートの住民と管理人と同じだったという驚愕の真実を聞かされる。想一はその日また「もう一人のお前を見つけた」という手紙を受け取る・・・ |
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第8章 |
一月(2) |
1月16日の夜、辻井が部屋の浴室で殺された。辻井の部屋は施錠されており、辻井の部屋に行くには想一の部屋の前を通る必要があり、想一が誰も見ていないことから、自殺と断定された。遺書はなかったが、手記が見つかり「小説が書けないのはうるさい子供のせいだと思い込んで殺すに至った」と書かれていた。1月20日、「来夢」で想一は辻井の事件の経緯を希早子に話した。希早子は脅迫者も辻井だったのではないかと言う。しかし想一のもとにまた「もう一人のお前は殺した・・・次こそ、お前だ」という手紙が届いた。島田からの電話に対し、想一は「来てください」と懇願する。1月28日の夜遅く、希早子が大学から帰る途中、誰かに襲われる。殺されようとする寸前、希早子は島田と名乗る男に助けられる・・・ |
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第9章 |
一月(3) |
1月29日、「緑影荘」に向かう男がいた。その男は「緑影荘」の住民に、自分は想一の友人・島田潔と名乗った。想一のアトリエである土蔵で、島田は今回の事件について秘密の抜け穴を利用した犯行であり、アトリエにやってきた架場におまえが犯人だと言う。架場は想一が昔殺してしまった男の子の弟でありその復讐だと。しかし、それを聞いた架場は、それを覆す驚きの真実を島田に告げる・・・ |
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第10章 |
二月 |
2月1日、「来夢」で希早子と架場が事件の真相について話している。架場はひとつの解釈として、飛龍想一の多重人格、そして島田潔の存在の真相について語る。しかし、希早子のある問いかけに対して、架場は明確には答えないのだった・・・ |
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エピローグ 島田潔からの手紙 |
1988年2月7日に書かれた架場久茂宛ての島田潔の手紙の文面・・・ |