2025年2月22日(土)開始 2025年2月23日(日)読了
作品情報
タイトル 変な絵
著者 雨穴
シリーズ
初刊出版社 双葉社
レーベル
初刊発行日 2022年10月20日
書籍情報
出版社 双葉社
レーベル 双葉文庫 う-23-01
判型/ページ数 文庫判/376ページ
初版発行日 2024年8月9日
版数 第1刷
発行日 2025年1月15日
定価(本体) 780円
購入日 2025年1月16日
長女も好きな雨穴の「変な絵」が文庫本になって発売されたのを見つけて、即買いしてしまいました。49ページに及ぶ物語の前日譚「続・変な絵」と「ナゾ解きゲーム」も特別収録されています。

オカルトサークルに所属する佐々木は、後輩の栗原から「七篠レン 心の日記」というブログの存在を教えられる。そこには、「あなたが犯した罪」という不穏なメッセージとともに、投稿者の妻・ユキが描いた「絵」が5枚掲載されていた。そこから始まるいくつかの絵にかかわる4つの事件の話が始まる。

第1章 風に立つ女の絵 出産で命を落としたユキの残した「風に立つ女の絵」等5枚
第2章 部屋を襲う、もやの絵 小学生・優太の描いた「灰色に塗りつぶされたマンションの絵」
第3章 美術教師 最期の絵 殺された美術教師・三浦と新聞社社員・岩田の残した「震えた線で描かれた山並みの絵」2枚
最終章 文鳥を守る樹の絵 母を殺した少女の描いた「文鳥を守る樹の絵」

それぞれの絵は何かがおかしい。いったい、彼らは何を伝えたかったのか。これら9枚の奇妙な絵に秘められた衝撃の真実とは何か。その謎が解けたとき、すべての事件が一つに繋がる!・・・というストーリーです。

とても面白くて一気に読んでしまいたくなる作品でした。それぞれの絵の秘密もなるほどと思わせる説得感がありますし、プロローグも含めて4つの事件がひとつにつながっていく展開は、パズルがひとつひとつはまっていくような気持ち良さがあります。意外性もあり、展開も一筋縄ではいかない深みもあり、よくこんな物語を考えられるものだと感心してしまいます。雨穴さんはYouTubeも面白いですし、書籍化されたものもとても楽しめます。個人的には、「変な家」よりもこの作品のほうが面白くて好みです。ただ、絵の秘密や話の展開は緻密でパズル的で面白いのですが、話の内容は親子の問題なので、ちょっと重く感じるところも多いです。特に特典2の前日譚「続・変な絵」は、優太の言動に涙が溢れてくるほど心にグッときました。「変な家」での謎解きキーマンの栗原も重要な役割で登場してくるのも楽しい演出でした。

「変な家」の映画化はホラー中心のおかしな映画になってしまいましたし、雨穴が「ホラー作家」と称されていたりしますが、雨穴氏は正統で素晴らしいミステリー作家だと思います。この作品はきちんと映画化されたら面白いだろうなと思いました。引き続き、「変な家2」「変な絵2」も読んでみたくなってきました。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。