2025年1月20日(月)開始 2025年2月2日(日)読了
作品情報
タイトル 星降り山荘の殺人
著者 倉知淳
シリーズ
初刊出版社 講談社
レーベル 講談社ノベルス
初刊発行日 1996年9月
書籍情報
出版社 講談社
レーベル 講談社文庫 く-43-4
判型/ページ数 文庫判/544ページ
初版発行日 新装版 2017年7月14日
旧装版 1999年8月
版数 第13刷
発行日 2024年4月5日
定価(本体) 900円
購入日 2024年12月27日
正月用に買った小説ですが、長編なのでなかなか手に取ることは躊躇っていました。しかし、医療機関の待ち時間と、足の指の骨折の療養時間を使ってやっと読み終えました。

会社で上司に手を挙げて配置転換になり、スターウォッチャー星園詩郎の付き人になった杉下和夫は、星園とふたりであるPRのためのイメージキャラクターの依頼に基づいてある山荘に向かいます。山荘では、山荘を売り出す会社の社長・岩岸豪造、その部下・材野政高、作家・草吹あやめ、その秘書の早沢麻子、UFO研究家・嵯峨島一輝、女子大生・小平ユミ、大日向美樹子が集まります。そしてその夜、ひとり目、翌日ふたり目の殺人が起きるのですが。警察も救援隊も来ることができない大吹雪の中孤立してしまう・・・というストーリーです。

とても面白くて飽きずに読み進めることのできる作品でした。500ページ超えの長編でしたが、内容は、ある山荘の三日間の出来事を時系列的に細かく緻密に表現されている構成と、登場人物が9人だけということで、迷子になったり戻って読み返したりすることなく、とても分かりやすかったです。また、物語はいくつかのシークエンスとなっており、その冒頭に四角で囲まれた要約があります。例えば

「星園の質問がはじまる/
各人のアリバイが確認されるが/
無論犯人だけは嘘をついている/
その後和夫はありがたくない役目を仰せつかる」

といったように、要約+読む観点みたいなことが書かれています。そのヒントっぽい一言を頭に入れながら読み進めるのですが、なかなか犯人を特定する材料がつかめません。なので、最後まで興味深く、早く結末を知りたくて読み進めたくなります。そして結末は、そうきたかという感じです。星園が最後に犯人を特定するのですが、その理屈が少し弱いというか都合よい部分があって推理小説の結末らしくないと感じていたところのどんでん返しということでした。ちょっとずるい感じがしないでもないですが、納得できないようなモヤモヤ感はありません。

冗長な感じはなく、説明も図入りで親切で、状況描写も詳しくて目に浮かぶようですし、結末も意外性があり、とても面白い作品でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。