2026年7月7日(月)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン1 G-9)
2026年5月22日(金)公開[PG12] / 上映時間:82分 / 製作:2026年(日本) / 配給:キノフィルムズ
【監督】 城定秀夫
【キャスト】
 山田太郎:佐藤二朗 / 照夫:丸山隆平 / 山田花子:MEGUMI / 国枝亨司:佐々木蔵之介 /
 徳井太一:夙川アトム / 若杉俊一:望月歩 / 松崎拓也:久保勝史 / 中条都子:東宮綾音 /
 西条三郎:大高洋夫 / 榊原良樹:しおつかこうへい / 末森裕子:今藤洋子 /
 幼少期の太郎・少年:和彦 / 幼少期の花子:小柴みら / アツシ:嶋田鉄太
【あらすじ】
昼下がりのファミレスで、残忍な殺人事件が発生する。防犯カメラには、犯人と思われる坊主頭の中年男が映っていたが、男の手には凶器のようなものはない。男が近づき、軽く接触するだけで人が血を吹き出して倒れていくという異様な光景が記録されていた。捜査を進める警察は、坊主頭の男が11年前に万引きの疑いで調書を取られた「山田太郎」(佐藤二朗)と同一人物であることを突き止める。山田の自宅住所に急行した捜査員が目にしたものは、腐敗した女性の遺体だった・・・
【感想】
この映画は、佐藤二朗の原作・脚本・主演という魅力はあったのですが、残忍な人殺しのシーンが多いと聞いていたので観に行くつもりはなかったのですが、現在ドラマでのトラブルで、いろいろと苦しんでいる佐藤二朗を応援する!という気持ちで、思い切って観に行ってきました。

観に行って良かったです。思っていたよりも人間的で、もう少しで泣けてくるような映画でした。いくら理由があったとしても、山田のような殺人行為はけっして許されるべきものではありませんが、とんでもない力を持っているがために苦しんで普通の生き方ができない切なさというか神様のいたずらへの恨みというか、自分がそういう境遇だったらと思うと胸が苦しくなりました。それに、山田の右手の見えない武器(狂気)は、現代社会の姿を見せずに人を傷つけるSNSという武器(狂気)を操る手のようにも思えて、けっして絵空事の悲惨な出来事ではないようにも感じました。SNSで人を傷つける行為と、山田の無差別な殺人行為は、それほど違いはないように思います。むしろ、山田のほうが自分の力が人を傷つけるとわかっていたために、生きることに苦しんでいたことを思うと、無自覚なSNSでの加害者よりはましなのかもしれません。

それと、もうひとつ思ったのは、人と違っていることの生き方の難しさです。多かれ少なかれ、人は他の人と比べて劣等感をもったり自分への嫌悪感を感じたりしています。それをより敏感に多感に感じている人ほど、人生を生きることに辛さを感じるものだと思っています。私もそうですので、山田の最後に切れてしまった心情に共感(行為に共感は感じませんが)を覚えたりしました。

山田の行為は、けっして同情したり肯定したりすべきものではありませんが、子供が生まれるのを楽しみに待つ山田を見ていると悪い人間ではないはずで、だからこそ、あんな暴挙に走らせた理由にだけは私はこだわって少しは寄り添ってみたいと思いました。そういう二面性を、台詞ではなくて表情や行動で演じていた佐藤二朗はやはり素晴らしい俳優だと感じました。

最後に出てくる少年はどういう存在なのか、わかりにくくて観る側に判断を委ねる終わり方でしたが、私は少年は太郎の幼い頃の幻想ではなくて、花子が太郎のもとから離れて生んだ息子だと思えました。だから、この少年もまた苦しい人生を送るのか、また悲劇がなっているのか、ちょっと暗い気持ちで観終わりました。

悲惨な殺人の目を背けるようなシーンが多かった映画でしたが、思っていたよりも緻密に考えられていましたし、社会的な他の問題と重なり合ってしまいましたし、運命という神様の与えたカードをどう受け止めるべきなのか、など、自分や家族の環境に置き換えていろんな思いを感じる深い映画でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。