2025年1月3日(金)鑑賞 Netflix
2024年2月9日(金)公開 / 上映時間:119分 / 製作:2023年(日本) / 配給:バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース
【監督】 三宅唱
【キャスト】
 山添孝俊:松村北斗 / 藤沢美紗:上白石萌音 / 辻本憲彦:渋川清彦 / 大島千尋:芋生悠 /
 岩田真奈美:藤間爽子 / 久保田磨希 / 足立智充 / 宮川一朗太 / 内田慈 / 丘みつ子 /
 山野海 / 斉藤陽一郎 / 藤沢倫子:りょう / 栗田和夫:光石研
【あらすじ】
PMS(月経前症候群)のために月に一度苛立ちを抑えきれなくなる藤沢(上白石萌音)と、パニック障害で仕事や生きがいに気力を無くしている山添(松村北斗)の物語です。ふたりは、その病気のために働いていた職場を離れ、現在はプラネタリウムや顕微鏡などの教育キットを製作する栗田科学で働いています。理解ある社長や同僚の中で、二人はお互いの病気を理解し合い同志のような気持ちで支え合っていく・・・
【感想】
寝るまでには少し時間があって、かといって見たいテレビ番組もなく、読書は昨夜集中したので、いい映画はないかと思って探してこの映画を見つけました。昨年2月公開だった映画です。作者は瀬尾まいこで、「そして、バトンは渡された」の作者でもあります。「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた上白石萌音と松村北斗がW主演です。

大きな出来事やいさかいなどの起伏がなく、悪い人もでてこなくて、静かに淡々と描かれる映画で、昨年観た「PERFECT DAYS」に通じる雰囲気があります。私もパニック障害で、普通の人にはなんでもないことができなくなる苦しさを味わった時期がありましたが、PMSも含めて、そういう病気はなかなか人には理解できない病気です。そんな当人たちを、周りの人たちは優しく見守ります。自分のことの悩みしか見えなかったふたりは、お互いを理解したり支えあうことによって、誰かを支えることによって自分が支えられることを感じていきます。会社の社長も、山添の元上司も実は身内を自死によって亡くすという過去を持っており、そういう経験からも、ふたりを優しく見守る姿にも心を打たれます。藤沢は母親の介護のために転職をして栗田科学を辞め、山添は栗田科学の仕事にやりがいを見つけて元の職場に戻ることをやめるという離れ離れになる結末で、少し残念で私的には寂しい感じで終わりますが、映像ではそんな寂しさは感じられず、ふたりは前に向かって進んでいくのだろうなと思わせてくれるいいラストでした。

夜があるから美しい星空を観ることができて、その歴史や壮大な空間に思いを寄せることができる。夜は必ず夜明けを迎える。そしてその夜明けが一番暗い。プラネタリウムの解説で最後に藤沢が話すノートに書かれた内容は、心にジーンと沁みるものがありました。「苦しい時期を経験したからこそわかる大切なことがある。そして、その苦しい時期が終わる寸前が最も苦しい。それを乗り越えれば、陽はまた昇り事態は良くなる」、そういうことだと思います。生きる中で人は誰でもいろんな苦しみを抱いて折り合いをつけながら生きています。時には折り合いをつけられなくて逃げてしまいたくなることもあります。でも、それはけっして悪いことではなく、だからこそお互いの苦しみを理解し、人と自分に寄り添って生きていくことが大切なのだなと思わせてもくれました。

悩みを持つ人たちの日常を静かに描く映画でしたが、心が温かくなるとても優しい映画でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。