2024年10月5日(土)鑑賞 Prime Video |
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2024年06月07日(金)公開[PG12] / 上映時間:114分 / 製作:2023年(日本)
/ 配給:キノフィルムズ
【監督】 入江悠
【キャスト】
香川杏:河合優実 / 多々羅保:佐藤二朗 / 桐野達樹:稲垣吾郎 / 香川晴海:河井青葉
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香川恵美子:広岡由里子 / 三隅紗良:早見あかり |
この映画は今年6月公開だった映画で、観たい映画の候補にあげた映画だったのですが、内容が重すぎる感じがして映画館に行って観るという気持ちにはなれなかった映画でした。
この映画は実際の新聞記事として報じられた史実をもとに作られたフィクション作品です。幼少期から親からの虐待を受け薬物依存に溺れた少女・あん(河合優実)が、警察に逮捕されて人情味豊かな刑事・多々羅(佐藤次郎)と知り合うことで、家族との縁を断ち、更生施設に通い、勉学にも励む道を歩みます。しかし、新型コロナ禍をきっかけに仕事を失い、学校も休校になり行き場を無くしてしまいます。そんな時に多々羅が更生者に対する性加害者だということが新聞記者・桐野(稲垣吾郎)によって報じられて逮捕され、あんはさらに追いつめられていく・・・というストーリーです。
あんの前向きで真面目な性格と、あんの母親以外のまわりの大人に酷い人間がいないことによって、思っていたほどは重く暗く絶望的な雰囲気ではなかったのが救いでしたし、生きてくれればという思いは最後まで残りました。心が折れて再度薬物に手を出してしまった自分が許せなくて絶望したということですが、それでも周りには助けてくれる大人がいたのではと思わせてくれる光はあったように思いました。それにしても、あんの母親のひどい仕打ちと環境だけは、あまりにもあんを不憫に感じてしまいます。母親さえもう少しまともであったら、あんはこんな結末にならなかったと思います。母親に危害を加えずに自分を追い込んでしまったのも、あんの優しい性格だと思います。終盤の子どもを押し付けられる設定は、すぐに管理人などに相談すればいいし、経験がないのに子供を育てることは非常に難しいと思ってしい、現実感の無い違和感を感じました。作者の意図は、あんは母親からの子供虐待の連鎖を断ち切っていることを表現したかったようですが、ちょっと強引だったように感じます。また、多々羅の性加害者という報道は本当だったのか、多々羅のことをよく思わない誰かにはめられたのか、最後まで私は多々羅の人物像からは信じられない思いが最後まで残りました。それが本当ならば、最初からもう少し裏の影を表現してほしかったかなと思いました。
こんな悲しい家族の出来事があった、コロナ禍によって弱い立場の人が苦しんだ、そういう社会的テーマを描いた映画でした。しかし、残念ながらこの映画ではそういう問題の解決策までは示唆していません。手を差し伸べる大人が少なくない設定でも、こういう悲しい出来事が起きてしまう現実を突きつけられた・・・そんな映画でした。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |
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