2024年5月21日(火)鑑賞 イオンシネマ長久手(スクリーン2 L-8) |
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2024年5月17日(金)公開 / 上映時間:141分 / 製作:2024年(日本) / 配給:東京テアトル=ヨアケ
【監督】 大森立嗣
【キャスト】
濱中圭介:福士蒼汰 / 豊田佳代:松本まりか / 池田由季:福地桃子 / 竹脇東:近藤芳正
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河合勇人:平田満 / 服部久美子:根岸季衣 / 服部の夫:菅原大吉 / 服部希乃:土屋希乃
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濱中華子:北香那 / 小野梓:大後寿々花 /
松本郁子:財前直見 / 市島松江:三田佳子 / 伊佐美佑:浅野忠信 |
吉田修一の原作ということで興味があったのと、最近の俳優としての松本まりかが素晴らしいと思っていたので観てきました。
琵琶湖湖畔の介護施設・もみじ園で100歳の老人の不審死が見つかるという事件から始まります。西湖署のベテラン刑事・伊佐美と若手・濱中によって捜査されるその不審死事件、濱中と介護士・佳代の「支配する・支配される」という倒錯した性癖関係、週刊誌記者・池田が追う殺された老人がかかわる17年前の薬害事件、そしてその背景となる戦時中の旧日本軍の731部隊の細菌兵器開発での人体実験などがかかわり、複雑な展開で進みます。
正直言って、何を伝えたいのかよくわからない難しい映画でした。それぞれの話が最後に結びついて集約されるわけでもなく、すべてが中途半端な形で終わります。不審死事件の真相も、犯人捜しに血眼な警察ではなく池田が動画から解きほぐすというのも考えればおかしなことだし、その真相も最終結末は描かれていません。そしてたぶん誰もが思うであろう濱中と佳代の関係。ふたりのSM的な「支配する・支配される」というシーンは、この物語のストーリーに直接関係することでもなく本当に描く必要があるのだろうかということ。私はそういう関係は嫌悪感もなく理解できるところもありますが、一般的には気持ち悪いとか嫌悪感を持つ方が多いと思います。湖に見つめられたそういう行為によって、濱中も佳代も解放されるのかも知れないのかなとは思いますが、この物語での必要性はやはりよくわかりません。
この作品で思うことは、不審死事件における警察の自白強要などの非人道的な取り調べと、生産性のない人間の社会的排除、人体実験という社会的問題を取り入れていること。ただ、取り入れているといっても、その解は示されていなくて、話にそういう要素を入れているというだけです。そしてその問題は社会全般の影という意味で、濱中と佳代の個人的性癖嗜好よりも気持ち悪いです。そういう対比として濱中と佳代の関係を取り入れているとしたら、それはそれで意味があるのかもしれません。「この世界は美しいのだろうか」という問いかけが何度も出てきますが、その問いかけが、この映画の中で描かれるそんな問題を含んだ出来事によって考えさせられることなのかなと思いました。
どちらにせよ、重く難しい映画で、この映画を理解して素晴らしい映画と言えるだけの理解力は私にはありませんでした。一度、原作を読んでみるのもいいかも知れません。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |
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