2024年4月1日(月)鑑賞 Netflix
2023年2月23日(木)公開[PG-12] / 上映時間:134分 / 製作:2023年(日本) / 配給:アスミック・エース
【監督】 今泉力哉
【キャスト】
 ちひろ:有村架純 / オカジ:豊嶋花 / マコト:嶋田鉄太 / バジル:van / 谷口:若葉竜也 /
 ヒトミ:佐久間由衣 / べっちん:長澤樹 / チヒロ:市川実和子 / ホームレスのおじさん:鈴木慶一 /
 永井さん:根岸季衣 / 尾藤:平田満 / 内海:リリー・フランキー / 多恵:風吹ジュン
ほのぼのとした中にとても優しさを感じる映画でした。

主人公のちひろ(本名:古澤綾)は、幼い頃に母親からの愛情を受けられず、その母の死に悲しさを感じることもできない女性です。自分だけを見てくれて雇ってもらえた風俗嬢で居場所を得たという過去も持っています。現在は、弁当屋の売り子として働いていて、風俗嬢だったという過去も隠さず、自由で奔放で、口も悪いところがあったり素っ気なかったりして暮らしていますが、そんな母親との過去に心の中は縛られているところが垣間見えます。しかし、ちひろは、自分をわかってくれた人と同じように、人を表面で判断せずに中身を見て人と付き合うため、周りの人に優しくて頼り甲斐があって、人に好かれていてカッコいいなぁと思えます。

ちひろが風俗嬢の時に客から、「ぼくたちはみんな人間という箱に入った宇宙人なんだ。ひとりひとりみんなやってきた星はみんなバラバラでわかりあえないのは当然なんだ。だってしょうがないじゃない。そもそも別の星の人なんだから。そう考えた方が楽じゃない」と言われた言葉を子供たちに話すのですが、人付き合いに疲れる人はそう考えたほうが楽かもなぁと私も心から思ってしまいました。他にも、べっちんがオカジに言う「人にも自分にも期待しないと決めたら少しだけ楽になった」という言葉も納得してしまいました。客の言葉もべっちんの言葉も、本当は他の人をわかりあえたい期待したりしたいのだけど、そうすると裏切られた時に辛すぎるということに対する防衛的な考え方なんですよね。そういう言葉が心に響く人は、たぶんこの映画では同じような経験を思い出して泣けてしまうと思います。

ちひろと多恵が車の中で話す会話も心に響きました。「もし多恵ちゃんが私のおかあさんだったら私はどういう大人になっていただろうな」というちひろのつぶやきに、「でも、今より素敵な人にはなっていないんじゃない。私は今のあなたがとっても好きよ」とこたえた多恵の言葉に、ちひろはどう思ったのかを考えると泣いてしまいました。このような同じ星から来たのかもしれないと思わせてくれる人たちばかりであれば、いいのになぁと思ってしまいます。

心の中につらいことがあっても、しっかりと自分を持って優しく生きるということの大切さとかっこ良さを感じるとてもいい映画でした。こういう役は有村架純がはまり役です。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。