2024年1月3日(水)鑑賞 DVD |
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2017年9月23日(土)公開[PG-12] / 上映時間:128分 / 製作:2017年(日本)
/ 配給:東映=日活
【監督】 熊澤尚人
【キャスト】
美紗子:吉高由里子 / 亮介:松坂桃李 / 洋介:松山ケンイチ / みつ子:佐津川愛美
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千絵:清野菜名 / 美紗子(中学生):清原果耶 / 細谷:木村多江 |
キャストが好みなので観てみましたが、これは私好みのいい映画でした。「ユリゴコロ」というのは心の拠り所を意味し、それが存在するかどうか、存在するならばそれを何に求めるかによってその人の生き方になるというものです。優しさを心の拠り所にすれば、優しい関係や時間が心の安定となり、怒ることが心の拠り所であれば、怒ることによって心の安定となり、人の死が心の拠り所ならば人の死を体感することで心の安定となる、そんな理解でしょうか。思い起こせば、私のユリゴコロは自分を優位に保つことが心の拠り所だったように思います。そのせいで家族だけではなく周りの人を傷つけてきたように思います。なので、この映画を観て、ユリゴコロという人間の概念を架空の概念ではなく、実際に人にはそういうものがあるのかもしれないと思ってしまい、美沙子の”いけない”行動にも心寄せる部分もありました。「ユリゴコロ」を何にするかで、それが自分の心の拠り所であっても人を傷つけることもある。この映画は、自分の「ユリゴコロ」に対する苦悩と、それによって大切な人を不幸にしてしまっていたという切なく悲しい思いがよく描かれている映画だと思いました。結末も意外性があり、ああ、そうだったのかと思わせてくれる内容でした。終盤、亮介がノートを呼んだことを父である洋介が知ったあたりからは、それぞれの思いが明かされ、その切なさで涙腺緩みっぱなしでした。吉高由里子は冷たく残酷な表情と優しい表情の差が素晴らしいし、松山ケンイチは落ち着いた優しい男性が素敵でしたし、松坂桃李の一瞬の狂気も魅力的だったし、とてもいい映画でした。ただ、最後に細谷が一人で何人もの男を殺した点だけは非現実的な感じを受けてしまいました。そのあたりが少しでも現実的に描かれていると、さらに母の子供に対する思いが違和感なく伝わったような気がしました。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |