2023年12月29日(金)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン6 G-8/9) 
2023年12月22日(金)公開 / 上映時間:124分 / 製作:2023年(日本) / 配給:ビターズ・エンド
【監督】 ヴィム・ヴェンダース
【キャスト】
 平山:役所広司 / タカシ:柄本時生 / ニコ:中野有紗 / アヤ:アオイヤマダ /
 平山の妹:麻生祐未 / ママ:石川さゆり / 街の老人:田中泯 / ママの元夫:三浦友和
健康診断の結果で落ち込んでいても仕方がないので、長女とまた映画を観てきました。「PERFECT DAYS」、公開前から観たいと思っていた映画です。トイレ清掃員である平山の朝から夜までの日々を台詞もほとんどなく淡々と描いています。朝は道を竹ぼうきで掃除する音で目覚めて、歯を磨き、植物に水を与えて仕事に出ます。黙々とトイレを丁寧に念入りに清掃し、見下すような態度をとる人たちに対しても静かに利用者優先で対応します。仕事が終われば、銭湯に行き、同じ店で飲んで食べて部屋に戻り、本を読んで寝ます。そんな日々を繰り返し描きます。しかもそれは仕方がなくではなくて、自分で選んだ生活のように感じられます。すべてが平山とは正反対の同僚のタカシ、その彼女のアヤ、そして姪のニコがその生活に絡んできて、その規則的で静かな生活を少し乱されますが、いつも穏やかな笑みを少し浮かべながら静かに対応していきます。タカシが仕事を辞めた時、妹と久しぶりに会った時、ラストシーン、そこだけいつもは見せない感情を出しますが、それ以外は、何か秘めた思いでもあるような静かで穏やかな日々です。そういう映像を見ていると、人の幸せとは何なのだろうと思ってしまいます。いつも規則的に自分の思う通り過ごせた日々が「PERFECT DAYS」。それが一番幸せなのではないかと思わせてくれます。人が絡むとその1日の「PERFECT DAY」が乱れます。一緒に観た長女も、あれはあれでとても幸せそうだと言っていました。平山が姪に、「妹とは違う世界を生きている」と話す場面がありますが、人それぞれに異なる自分の生き方の世界があるのだろうと思います。その時に言う、「いつかはいつか、今は今」という言葉も、今が一番大事なのだという考えが出ているように思いました。もっともっと平山の生活を眺めていたい、そう思わせてくれる映画でした。その中から、人の幸せとは何かを感じればいいのかなと思いました。なお、父親との確執の理由とか、神社で昼食をとる女性とか、ホームレスの男とか、休日しか腕時計をつけないとか、アヤのキスとか、そういうところは謎のままです。見る側の感じ方に任せているような気がします。そういう味わいのあるいい映画でした。なお、一瞬登場する老婆、研ナオコっぽいなと思ったら、パンフレットに研ナオコとクレジットされていました。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。