2023年9月9日(土)鑑賞 DVD
2019年5月31日(金)公開 / 上映時間:127分 / 製作:2019年(日本) / 配給:アスミック・エース
【監督】 中野量太
【キャスト】
 東芙美:蒼井優 / 今村麻里:竹内結子 / 東曜子:松原智恵子 / 東昇平:山崎努 /
 今村新:北村有起哉 / 磐田道彦:中村倫也 / 今村崇:杉田雷麟 / 今村崇:蒲田優惟人 /
 大畑雄吾:松澤匠 / 小西未央:清水くるみ / 磐田春子:倉野章子 / 萩原:不破万作 /
 東康介:おかやまはじめ / 恩田:池谷のぶえ / 遊園地の係員:藤原季節 / 医師:小市慢太郎
認知症がテーマであるということと、蒼井優と竹内結子が出演しているということで選んだ映画です。認知症になれば自分の意思でどれだけコントロールできるのかわかりませんが、記憶は消えて行ってもまわりに暴言や暴力など与えずに、昇平のように、周りが遠く感じていくという悩みの中でも静かに消えていくことができればと思いますね。そのためにも、今から自分の本性を穏やかな人間にしておかないといけませんね。また、逆に連れ合いが認知症になった場合、曜子のように愛情を保てるかというのも大きな課題ではあります。この映画では、この家族を見ていてそんなことを強く感じさせてくれました。最後まで原因や詳細が私にはよく分からなかったアメリカで暮らす麻里の息子の崇の不登校の問題についても、アメリカの先生が「不登校の原因はほとんど親に原因がある」という言葉も、完全に同意はできないものの、そういう面もあったかなと自分に置き換えて考えてしまいました。そういうことを思いながら冷静に観ていましたが、後半、遊園地で家族が過去の記憶を思い出した時、麻里が自宅前で夫と泣きながら話をする時、人工呼吸器をつけるかどうか決断する時、などは涙があふれてきました。妻役の松原智恵子、夫と息子の関係に悩む長女役の竹内結子、恋愛や仕事に悩む次女役の蒼井優は、苦しい中でも家族愛があふれて思わず笑ってしまうような明るい家族をとてもよく表現していました。タイトルの意味は、最後に崇の面談で明かされますが、なるほど、そういうことなのねと考えさせられます。完全な記憶のまま一瞬で別れるのがいいのか、大変でも長くかけて徐々に記憶を無くしながら別れるのがいいのか、どちらが本人と家族にとって幸せなのかは一概に言えませんが、どちらでも受け入れる余裕を持っておくことが大事なのでしょうね。芙美が行き詰って父に弱音を漏らした時の、認知症が進んだ父の言葉、「そう、くりまるなよ」。意味不明ですが、落ち込んだ時になんかしっくりきそうな気がしますので、頭に入れておこうと思います。とても良い映画でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。